ダイアログ・ケアとは
医療・教育の現場では、発達障害や精神疾患のケアの主流が、従来の「モノローグ(=個別対応)」から、「ダイアログ(=コミュニティケア)」へとかわりつつあります。対話をすることで他者を認め、自分を知り認めていくプロセスが着目されています。
自分に注意を向けてほしい
病気や障害などが原因で精神的に不安定な状態にある人ほど、自分に注目してほしい、存在を認めてほしい、という欲求が強くなります。この欲求が過剰になると、次第に「私が私が」と自己主張ばかりになり、ときにその言動は他者への配慮にかけ、嫌厭されるようになってしまいます。
家族や教員、友人、治療者も、その人ひとりに24時間かかりっきりになって個別対応をすることはできません。そのため、嫌厭されることは仕方の無いこととも言えますが、嫌厭されることでさらに不安は増し、要求が過剰になるという悪循環に陥ります。
外へ意識を向ける働きかけ
オープン・ダイアログとは元々フィンランドで統合失調症の治療のために取り入れられたものです。5年間の追跡調査によると、オープン・ダイアログに参加した被験者のうち、85%が完全に回復したという結果が得られています。
『開かれた対話』と和訳され、他者との対話、コミュニケーションを通じて、自分と他者との境界線やそれぞれの違い気づき、自分を知り認めていく手助けとなります。
この手法では、「私が私が」と承認欲求が過剰になっていた人は、対話をすることで外へ意識が向くようになります。自分の外側へ意識が向くと、他者も自分自身と同じように存在していることを認めることができます。そして、それをお互いに確認し合うことが自分を認めることに繫がり、良好なコミュニケーションを取り戻すきっかけとなります。
他者の存在を認めてはじめて、自分もまた同じように認められているという安心感が得られるのです。
アートセラピーを用いたオープン・ダイアログ・ケア
3色パステルアートでは創設時の2012年より、描いた作品をツールに『オープン・ダイアログ・ケア』を取り入れています。
描いている途中は大人も子どもも自分の作品だけに夢中。ダイアログ・ケアを実施する重要なポイントは鑑賞会にあります。
鑑賞会をこの対話形式で進行することで、作品という共通言語を持ちながら、いつもとは違ったフラットなコミュニケーションを取ることを実現しています。