いくつになっても認められたい

大人になると、仕事など能力的なことで褒められることはあっても、自分自身を褒めてもらえる機会はほとんどありません。褒められることが少なくなると、唐突に「あなたは素晴しい 人ですね!」と言われても、言葉通り素直に受けとることができないか もしれません。

実はこれは、子どもたちにも同じことがいえます。生まれてすぐは、いてくれるだけでありがたい、という存在だったにもかかわらず、幼稚園に入る頃には「〇〇 ができるようになってえらいね!」「〇〇できてすごいね!」と、何かができ るという条件付きで褒められるようになります。日々の生活がこの繰り返し です。そして、小学校に上がると今度はそれが通知表という数字で示されます。

 

褒められると不安になる

できるかどうか?技術があるかどうか?能力が高いか? 機能ばかりで褒められていると、褒められているのになぜか不安が増します。

「できなかったら、どうしよう・・・」

人はいつまでも完璧でいられるわけではありません。高齢になるにつれて、できないことがどんどん増えていく、と不安に感じている人もいるでしょう。人は本来、誰もがいてくれるだけでありがたい、という存在だったはずです。それがいつからか条件付きで認め合う生活に変わっていってしまいました。

 

評価ではなく存在そのものを認める

絵はその人の中から出てきた表現、分身のような存在です。3色パステルアートでは同じ手順、同じ道具を使って作品を描き進めますが、ひとつとして同じものはありません。制作者だけが、その瞬間にだけ描ける作品があります。

3色パステルアートのインストラクターには「上手」「下手」という言葉は使わない、というルールがあります。アートセラピーの現場において大切なことは、完璧な絵を完成させることでも、評論会をすることでもありません。ひとつひとつの作品の個性を見つける絵の鑑賞法を学び、それぞれの魅力を具体的に言葉にして伝 えることが必要です。これが、制作者の存在そのものを認める、というこにつながります。

冒頭のように、「あなたは素晴しい 人ですね!」と言われても、なかなかそれを受け取れない、という人も、「あなたの作品は素晴らしいですね!」と言われるとすんなり受け取れるのもアートセラピーの面白いところです。

ただ描くだけではなく、作品を通して、参加者が根拠なく『自分は素晴らしい』と思える 関わりや場所作りをすることが大切です。「自分はここにいても良いんだ」という居場所を作ることが自己肯定感を高めるきっかけとなります。(参考記事:自己肯定感と子育て)

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近年、教育・医療の現場で注目されているダイアローグ・ケアとアートセラピーの現場における導入についてご紹介します。

 

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