3色パステルアートでは2017年4月~10月にかけて、
3色パステルアートが自律神経や心理的機能に与える影響について効果測定を行ってきました。
調査場所は、国内にある発達障害等の困難を抱える人のための施設です。
今回はこの施設の18才以上の利用者を対象に効果測定を行いました。
その結果が、2017年11月10日〜11日にかけて宮古島にて行われた神経科学カンファレンスにて発表されることとなり、参加してきました。
発表のテーマは『発達障害当事者・成人支援としての各種アートワークの生理学的・心理学的有効性』です。
宮古島神経科学カンファレンスとは
本研究会では、個々の研究領域の垣根を越えた有機的な情報・意見の交換を目指して、臨床医学、基礎医学、医用工学、心理学など広い視点から神経科学の理解を深め、異分野の研究者たちが忌憚のない意見を交換することを目的として設立されました。
基調講演、教育講演、招待講演では、国内外の第一線で活躍している研究者や臨床家を招いて、最新のトピックスに触れる機会を作り、広い視野からの情報交換や活発な討論が展開されることを目標としております。(宮古島神経科学カンファレンスプログラムより一部引用)
気分尺度測定
心理的効果を測るためにPOMS(Profile of Mood States)短縮版を使用しました。
POMSは、心療内科や精神科等で広く使用されている心理検査です。
・POMSは、緊張・抑うつ・怒り・活気・疲労・混乱の6因子が同時に測定できるテストです。
・性格傾向を評価するのではなく、その人の置かれた条件の下で変化する一時的な気分、感情の状態を測定します。
・30の質問項目に答える、10分程度でできるテストです。
(出典:チーム医療ウェブサイト)
この点数を計算する事で、TMD(tal Mood Disturbance)=気分不良得点を出すことができます。
今回はこのTDMを“3色パステルアート実施前”と“実施後”に計測。その効果を測りました。
体験者の97%で「緊張」「抑うつ」「怒り」が低下し、「活気」が向上
グラフの通り、緊張・抑うつ(憂鬱)・怒り・疲労・混乱などネガテイブな感情を示す値が、被験者の97%で低下。活気が上昇しました。
その他のアートセラピーと比較したグラフです。
今話題の塗り絵や、女性に人気のアロマとのデータと比較しても、3色パステルアートはより効果的と言えます。
(※グラフ内の全体平均とは、今回調査対象となったパズル、工作、折り紙、コラージュ、切り絵等のデータを含んだ全ての平均です。)
このデータの有意差は0.001%です。
有意差0.001%というのは、偶然同じ結果になる確率は0.1%未満という意味です。
医学や薬学の統計の多くは、有意差0.05%(=偶然同じ結果になる確率は5%未満)を基準としています。
今回の結果から、ネガテイブな感情をやわらげ活気を持たせるために、3色パステルアートは非常に有効であるということが分かりました。
自律神経活動量測定
自律神経への影響を測定するために、今回はTAS9(タスナイン)という機械を使用しました。
赤外線を利用して、心拍・呼吸数・自律神経の活動量を測ります。
(出典:株式会社YKCサイト)
体験者の67%の自律神経活動量が増加
3色パステルアートを実施することで交感神経と副交感神経が活発になり、体験者の67%で自律神経の活動量が増加しました。
測定時は抽象画と風景画をそれぞれ1枚ずつ、合計2枚描いています。
下のグラフはそれぞれ、体験前(前)・抽象画終了後(中)・風景画終了後(後)のときの自律神経活動量を示しています。
(グラフ提供:文教大学教育学部特別支援教育専修成田ゼミ)
平均的には自律神経が活発になっていますが、上で紹介した感情測定に比べると、人によって変化がなかったり、数値が右下がりになったりとかなり個体差が見られました。
今回の測定では、参加者全員が一斉に指定された作品を描きましたが、人それぞれの好みにカスタマイズした題材を提供することで、さらに良い結果が得られることが予想されます。
楽しみながら脳と心に良い影響を与える3色パステルアート
今回調査を行なった施設の皆様には、いつも通り楽しみながら作品を描いていただきました。
今なにか問題や悩みを抱えている方は、難しい自己啓発の本を読んだり、必死に考えて向き合うよりも、まずは3色パステルアートを体験してみませんか。
描いているうちに新しいことを思いついたり、元気が出てきて悩みや問題が小さく感じられたり、、今までに無い感覚が得られるかもしれません。
これまでとは違うアプローチもぜひ取り入れてみてくださいね。
おまけ
宮古島を満喫するいもむし。