『ラポール』という言葉を聞いたことはありますか?
心理学用語で、信頼関係を意味します。
心理学の勉強をしていると、ラポールをとるために〇〇をする。というようなポイントがたくさん出てきます。たとえば、傾聴(けいちょう)や、受容、共感などもその方法のひとつ。
けれど、いざ実行してみようとすると、時間的にも技術的にもとても難しいのです。
そこで今回はいちばん簡単なラポールのコツをご紹介します。
言葉よりも大切な非言語コミュニケーション
言語的にラポールをとろうとすると非常に難しくなります。
それよりも大切なのは非言語コミュニケーション。
よくテレビ番組で、言葉が通じない、文化も全く異なる国へホームステイをして、涙ながらに帰国の途につく。というシーンが流れてきます。
言葉が通じないので言語的なコミュニケーションがうまくいっているとは言えない状態。けれどお互いに心から信頼し合っている様子が伺えます。
電気すら通っていないような山奥の部族の元へ行くと、歓迎の儀式として独特の音楽や踊りを踊る場面が多く見られます。これが非言語コミュニケーションのひとつです。
ポイントは身体的同調
非言語コミュニケーションというと難しく感じられるかも知れませんが、ポイントは身体的同調です。
人は自分と同じ姿勢や動きをしている相手に対して、無意識的に信頼感を持ちすくなります。
歓迎の儀式で、全員で踊るのは身体的同調の一例。同じ動きをすることで、終わる頃には場全体の一体感が高まります。
言葉の通り、身体が同調していることが大切。
ここで踊りの輪に加わらずに、ただ見ているだけの人は信頼感を得にくいのです。
日本では『盆踊り』がこれにあたります。
ウィキペディアの盆踊りにはこのように説明されています。
歴史的には村落社会において娯楽と村の結束を強める機能的役割を果たした。
そのため、各地にご当地音頭も多く存在し、
自治体などが作成したオリジナルの地域的音頭も増えている。
地域コミュニティの結束を高めるために、みんなで同じ場所に集まって、同じ踊りを踊るという風習は国や地域をまたいで古来から取り入れられています。
3色パステルアートを描きながら自然な同調を
前述したように、言語よりも非言語コミュニケーションが大切。
誰もがはじめから気さくに会話ができるわけではありません。
人見知りだったり、雑談が苦手という人もたくさんいるはずです。
3色パステルアートでは、毎回ひとつのテーマを全員が同じ手順で描いていきます。
描いている最中はほとんどの人が無言で黙々と自分の作品と向き合っているので、この時点での会話はあまりありません。
けれど、1時間以上も同じ手順、似た仕草で描き続けていることが身体的同調の効果を生み、絵が完成する頃には不思議と親近感が高まっています。
言葉では説明しづらいですが、無意識的になんとなく心理的距離が縮まった感覚になるのです。
歓迎の儀式として一緒に踊った時と同じ効果が出ます。
そしてこの頃になると、「初対面の人と話すのが苦手」と言っていた人とも、自然と会話が弾みます。絵という共通の話題があることも、その手助けとなります。
これが、「なんとなく居心地が良いな」「ここの雰囲気が好きだな」と思われる居場所づくりの秘訣です。
会話しなければいけない。というプレッシャーのかかるコミュニティではなく、自然と会話が進んでいる。
「またここに来たいな」「自分はこのコミュニティの一員だ」そのように場全体へのラポール(信頼関係)のある居場所づくりを目指しましょう。