頭が良い人の脳の使い方

ここでいうところの頭の良さとは、学校の成績や偏差値が上がる、並外れた記憶力を身につける、という類いのものではありません。あらゆる場面に臨機応変に対応できる、柔軟性や器用さ、要領の良さをさします。

柔軟性の高い人の頭の使い方を、脳の仕組みについて解説しながら紐解いていきます。

 

頭が良い人ほど記憶力が悪い!?

「もっと記憶力が良ければ…」誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。人の記憶は非常に曖昧です。一度に大量に覚えることもできません。(→アートセラピーの効果②参照)

人は知能の高い動物です。
実は、人の脳は高い知能を得るために、“わざと”記憶が曖昧なるように進化をしたのです。

 

もし、記憶力が完璧だったら…

「モズの速贄(はやにえ)」という慣用句があります。
モズが餌となる虫を木の枝に刺し、そのまま置き去りにすることから転じて、「忘れやすい物事」のことを意味する言葉です。しかし実際、モズは忘れてしまっているのではなく、正確に虫の場所を記憶しています。正確に記憶しすぎて忘れているのです。

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鳥の脳は融通がききません。正確に記憶しすぎるということは、ちょっとした変化に柔軟に対応できないということです。

 

人類が選んだ“汎化”という進化

汎化(はんか)とは、簡単にいうと「だいたい一緒」と思える能力のことです。抽象化、一般化ともいいます。

例えば果物。みかん、いちご、バナナ…見た目は全く異なる植物です。人はこれらを汎化して「くだもの」と捉えています。

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果物の明確な定義が分からなくても、「だいたいこれが果物」とカテゴリー分けしておくことで、未知の果物を前にしても、「これは生き物か?」などと考えを巡らせることはありません。このように新しい物事を瞬時にカテゴリー分けして把握できる能力が人には備わっています。

 

よく見る下のようなIQテストの問題は、主に汎化する力を測っています。

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数学の公式も汎化です。
問題Aを汎化することで、どの公式があてはまるかの判断を下し、正解に辿り着くことができます。

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要領が良い人は汎化する能力が高いので、未知のものに遭遇しても、過去の経験からその公式を編み出し対応するのです。これがいわゆる脳の柔軟性、対応力やクリエイティビティと呼ばれるものの正体です。

 

汎化するために必要なもの

汎化するためには、ある物事をカテゴリー分けするためのタグ付けが必要です。

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このタグの数が多ければ多いほど、様々な記憶が連携し、柔軟性が上がります。

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共感覚者は、このタグ付けの能力が非常に優れています。共感覚者の知能の高さはおそらくこのタグ付けに一因しているでしょう。新しい言語を覚えるときに、音や文字だけでなく、色もヒントになるといった具合です。音も形も色もタグのひとつです。

このタグ付けの能力を磨く方法のひとつが、五感を活用しながら作品を描くということ。(参考:アートセラピーの効果③-共感覚と五感,右脳の活性化)

 

3色パステルアートで脳の柔軟性を鍛える

3色パステルアートでは創設時の2012年から、五感を描くパステルアート、「共感覚アート」を作品に取り入れています。

前の記事でも紹介したこちらの作品は、味覚や嗅覚、食感といった曖昧で抽象的なものを捉え、表現したものです。
芸術家のクリエイティビティが高く、柔軟な脳を持っている理由は、そのような作業を無意識のうちに何度も繰り返してきた結果でしょう。

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もちろん、ワークショップの参加者は「脳の柔軟性を鍛えよう」「タグ付けの材料を増やそう」などと考えながら描いているわけではありません。インストラクターの指導する手順の中で自由に楽しみながら作品を描いていく過程で、自然と芸術家と同じ脳の使い方を体現しているのです。

 

参考文献:神経情報処理の基礎理論の研究(甘利俊一),進化しすぎた脳(池谷裕二)

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