「3色で描くメリットはなんですか?」
という質問をよくいただきます。

・色を作り出す楽しみを味わいながら創造性を育てるため
・オリジナルの色を作り出すため
・絵が苦手な人でも色が濁らないから
・本質をシンプルに捉えて原点に戻るため
・多くの色数の中から選ぼうとすると脳にストレスがかかるから
・材料が安価に抑えられるから

などなど、絵画技法・心理学・脳科学の側面から語れば、理由はたくさんあります。

今回はその中でも『色の見え方』に着目して解説をしていきます。

 

ポイント1)進出色と後退色

3色パステルアートでは、「赤」「青」「黄」の三原色を使用しています。

この3色のうち、赤と黄色は“進出色”という、視覚的に飛び出して見える色です。
一方、青は“後退色”と呼ばれる、視覚的に引っ込んで見える色です。

進出色と後退色、錯視の見本です。

いかがでしょうか?

画面では少し分かりづらいかもしれませんが、同じサイズの3個の四角、赤と黄色は飛び出して大きく、青は引っ込んで少し小さく見えます。

いわゆる錯視の原理です。
この原理を応用して、単色で塗るのではなく、進出色と後退色の両方を使うことで、絵に立体感が出ます。

最近では、この仕組みを利用した化粧品も発売されています。

錯視の原理を応用した化粧品の紹介です。

株式会社ポーラ『ディエム クルール』
出典)https://www.pola.co.jp/company/news/po20171212_1/

従来のファンデーションは肌色1色でした。単色塗りだと、どこか平坦でのっぺりとした印象になってしまいます。
それがこの製品のように進出色と後退色を肌の色で混ぜ合わせることで、より立体的で自然な色になるのです。

この製品案内のプレスリリースでは、点描画の仕組みと共に、実際に単色と混色の場合の肌の違いも写真付きで解説されています。
https://www.pola.co.jp/company/pressrelease/pdf/2017/po20171212_1.pdf

 

ポイント2)色の使い分け

3色パステルアートの作品見本です。

この作品は黄と青の2色で描いています。

葉っぱを塗ろうとした時、絵が苦手な人は緑1色だけで全体に塗ってしまう傾向があります。
一方で絵が得意な人は、何種類もの緑色を作り出して塗り分けるのです。実際の葉っぱも、よく観察すると同じ色は1枚もなく、それぞれに個性的な緑色をしています。

かといって、絵が苦手な人に対して「緑色を何種類も作って塗り分けましょう」と指示をしても、なかなか難しいもの。

3色パステルアートのように黄と青だけを使って緑を作り出すと・・・
ソフトパステルの粉は均一に混ぜる方が難しいので、自然とバラバラの緑色ができあがります。

プロの画家を目指すのでなければ、難しいことを考えすぎずに、楽しみながら自然に描けることが大切。
ぜひ試してみてくださいね。

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