「なんの取り得もないからボランティアすらできない」
ある日カウンセリング中に、「先生はたくさん得意なことがあって羨ましいです。私は何の取り得もないから、ボランティアすらできないんです。」と言われたことがありました。
その方は出産を期に仕事を辞めて、専業主婦をしていました。ご自身が抱えていたうつ病が改善してきたことと、子どもが小学校に入学したとをきっかけに、社会復帰を望んでいました。しかし、しばらく仕事から離れていたので、まずはボランティアとして社会に役立ちたいと思い、ボランティア先を探していたのです。
ところが、いざ探してみると、傾聴ができる人、勉強を教えてくれる人、趣味でレクリエーションをしてくれる人、などどこも条件付きで、「私にはなんの取り得もないからボランティアすらさせてもらえないんだ」と思い、社会復帰する自信をなくしてしまったそうです。
1枚の写真
そんな時、彼女がFacebookを開いたら、たまたま私が被災地の仮設住宅で、パステルアートをしている写真が目にとまりました。
確かにその頃の被災地は、震災からしばらくたって当時の混乱はある程度おさまっていて、人手が必要な仕事がなくなると、ボランティアも手持ち無沙汰になってしまう。「せっかく来たんだから何かさせろ」と横柄な態度をする人や、記念撮影だけして騒いで帰るような人が頻出して、“おボランティア様”と揶揄されるようになった時期でもありました。
現場はまさに、「ボランティアすらさせてもらえない」状況だったように思います。
それでも、3色パステルアートは本当に簡単で誰でも実施できるものなので、私は「羨ましい」と言われたことにとても驚きました。
社会と繋がるための資格
彼女の話しを聞いているうちに、自分が提供したもので人を笑顔にできて、それが自信に繋がるのなら、そのためのツールとして3色パステルアートを使ってほしいと思うようになりました。
もっと身近な場所で
ちょうど、3色パステルアートをやってほしいという依頼が増えて、仕事を断ってしまうことが重なった時期でもあったので、私と同じように3色パステルアートを教えられるインストラクターが増えれば良いなと感じていました。
ボランティアとして行っていた施設へは、行けたり行けなかったりもしていたので、施設の方が1人指導方法を覚えていただければ、ずっと継続して開催できるし、そうすれば、もっと身近な場所で、日常生活の中でアートに触れられる人を増やせるのに…とも思っていました。
プロとして伝える
せっかく学ぶなら、資格を取って終わりではなく現場で使ってほしい。
そのために、絵の経験や人の前に立つ経験がない人でも現場に出て困らないように、画材のことだけでなく、絵を通してのコミュニケーションや、3色パステルアートに隠されている脳科学の秘密まで広く学べるカリキュラムにしました。
現場では完成した作品を並べて鑑賞会をすることが多いのですが、参加者の方にとって、素人から絵を褒められるのか、しっかり学んだプロに褒められるのかは大きな差があります。誰かに教えるときはその時だけでも“プロ”として前に立ってほしいと思います。
3色パステルアートインストラクターに向いている人
ワークショップに参加する方は絵のプロではありません。むしろ絵にコンプレックスを持っている人がほとんどです。絵が子どものときから得意で…という人よりも、絵が苦手な人ほど参加者がつまづくポイントに気づき、その気持ちに寄り添えるので、インストラクターに向いていると感じます。
3色パステルアートの和を一緒に広げませんか。
・ちょっとした特技を身につけたい人
・好きなことをしながら誰かの役に立ちたい人
・生活にアートを取り入れたい人
・アートセラピーに興味がある人
・身近にいる誰かを笑顔にしたい人
・絵を描くのは苦手だけど本当はチャレンジしてみたい人
インストラクターとして、ささやかな幸せの時間を提供できる仲間が全国に増えることを願っています。