無心になれる
アートセラピーの効果として「無心になれる」ということがよく挙げられます。実際に、3色パステルアートの参加者からも「無心になって描けた」「時間があっという間に過ぎた」という感想は毎回のようによせられます。
では、なぜ3色パステルアートを体験した多くの人は無心になった。と感じるのでしょうか。
Googleが取り入れるマインドフルネス
無心になれるものとして近年話題になった手法でマインドフルネスというものがあります。瞑想にもよく似たこのマインドフルネス。「今この瞬間に完全に意識を向ける」その手法は、ストレスを軽減させる、疾病のリスクが減る、などのメリットが挙げられ、近年では医療の分野でも用いられています。Google社員の間でも実施され注目を集めました。
参考書籍:グーグルのマインドフルネス革命
無心になるメリットとストレスの原因
人間は、現実のものを『見る』ことと、『考え事をする』または『記憶を思い出す』ことを同時に行うことができません。『見る』も『思い出す』もどちらも共通の脳の視覚野という部位を使っています。視覚野はひとつしかないので同時にはできないのです。考え事をしながら歩いていたらいつも間にか目的地に着いていた、という経験は誰もが一度はあるのではないでしょうか。
これが悩みやストレスの原因のひとつです。
過去の後悔や、忘れてしまいたい嫌な記憶、まだ起こっていないことへの不安、先々のスケジュール。忙しい毎日の中で、考え事をしたり、過去のことを思い出したりせずに、目の前で起こっていることをじっくり『見る』という時間は、意外と少ないものです。
そして、ストレスや悩み事は頭の中だけに存在し『今ここ』には無いことがほとんどです。極端な言い方をしてしまえば、今ここにいる人は悩むことができないのです。多くの人が瞑想やマインドフルネスに魅了される秘密はここにあります。
無理なく効果が得られるアートセラピー
絵を描いている間は頭の中のいろいろ…ではなく、目の前の作品に集中しているので、マインドフルネスの目的である「今この瞬間に完全に意識を向ける」ことが自然に実行できるのです。また、絵を描けばなんでも良いというわけではなく、難しすぎないものを選ぶことが大事です。難しいモチーフを描こうとすると色々と考えてしまい、『頭の中の世界』へ向かってしまいます。
最近なんだか疲れが溜まっている、休んでも疲労感がとれない、と思っている人は、無心になって脳と心のリフレッシュ効果を感じてみませんか。
(--2016年05月12日更新)
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次回は絵を描いているうちに悩みを忘れてしまう、そんな不思議な脳と記憶の仕組みを解説します。

