高齢者向けレクリエーションのコツ〜現場で活躍するインストラクターより〜

 

3色パステルアートのインストラクターは子供から大人まで、非常に幅広い層を対象にワークショップ(レクリエーション)を行っています。

インストラクター認定講座では、現場に出るために最低限必要な技術をお伝えしています。

けれど、やっぱり人相手の仕事。
いざ現場に出てみると、それぞれの対象者に合わせた対応が求められます。

誰でもはじめは未経験。
インストラクターとして活動する中で、経験を積み上げていく必要があります。

今回は現場で活躍しているインストラクターに、実際の現場で遭遇した「困ったこと」や「工夫してうまくいったこと」や「これからの改善点」などを聞きました。

机上の空論ではない現場の生きた知恵は本当に貴重です。
3色パステルアートのインストラクターに限らず、様々なワークショップ・レクリエーション・アクティビティに共通する部分もあります。

インストラクターが感じている現場の生の声が、ひとりでも多くの人のお役立てれば幸いです。

 

 

高齢者向けワークショップ(レクリエーション)のコツ

「特養での困った事」

・絵の苦手な方は、興味を示して貰うのに時間が掛かる事。

励ましながら、作品を仕上げる事で、自信が生まれ次回を楽しみに待って貰える様になると、インストラクターも嬉しい。

・手順の説明が難しい。

インストラクターが不慣れな間は、途中進捗状況が掴めなくなり、不安に陥ってしまう事も。レシピを近くに置く事で、確認しながら進める事が出来るので、落ち着いて進める事が出来る。

☆工夫した点
100均で、ハガキファイルを購入し、描く手順に沿って、3段階に見本を作成。
サポートする職員にも見て分かる様にした。
作成には時間が掛かって大変だけど、繰り返し使えるので便利。

・利用者さんが、途中で飽きてしまう。

少し手助けする事によって、やる気が出る事もあり。隣席の方とも、励ましあったり褒め合ったり、成功体験を重ねる事で、喜びに変わり認知症の進みも遅らせる事に繋がるかもしれない。

《良かった事》
・10分前の記憶も残らない認知症の方でも、楽しかった印象は心に残るらしい。パステルを描いた事を忘れてしまっていても、次回にはコットンを自分から準備されて、驚いた。笑顔が多くなられて、嬉しかった。

・脳梗塞の後遺症で、片麻痺の方の場合
思い通りに描けなくて、落ち込みそうになる時がある。
パステルは消しゴムで消せるので、何度でもやり直せる事を伝え、一緒に作り上げる。麻痺していた表情も、笑う事で明るさが増した。作品を面会のご家族に見て貰う事で、本人にも自信に繋がる様だ。

【費用について 】
材料は、事前に職員と打ち合わせをして、より安価な方法を選んで行く。(予算が少ない為)

インストラクターの費用は、等価交換にしている。
無償でパステル指導をする代わりに、
地域交流室の利用料を、無料にして貰う。
(約4000円に相当)
内容・・・月に1度の、筆文字アートの講座へ部屋代を無料レンタルして頂き、特養の職員も参加して、資格取得への援助にもなっている。

–インストラクター小林美香さんより

 

【現場での体験談】
高齢者施設のデイサービスでのレクリエーションに関わって3年になります。
今は一箇所、月2回、各17、8名参加の定期開催に落ち着いています。
今の場所は、ホームページを幾つか見た中で、リハビリに力を入れており、レクリエーションの紹介が元気で充実している印象があったので、飛び込みで見学をさせていただきました。(音楽療法も毎日行われています)

お試し開催をさせていただき、その後今に続いています。
決まった曜日に月1回の開催でしたが、別の曜日に通う方々からの多数リクエストもいただき、今後は月2回の開催をしていくことになりました。
毎回、17、8名の方(男女比半々くらい)が参加されています。

【難しかった部分と改善、工夫点】
① (難しかったこと)認知症の方で、クレヨンを強く握り、グリグリとクレヨンで直接全体を塗りたくってしまう方がいました。スタッフさんがそれを強く止め、綿で描くように促していました。「お手本通り」「やり方通り」に描くことが目的ではなく、楽しむこと。その方が何故そのように描きたいかを観察して心を寄り添わせることを大事にしていることを伝えましたが、スタッフさんの持っている、「こうしなければいけない」「こうすべきではない」という意識を変えていただけるようにこちらの意図を伝えるのは簡単ではありませんでした。
→(スタッフさんへの工夫)まずは、レクの責任者に、こちらの意図をお伝えして、スタッフさんと共有できるように、毎回ワークショップの中でもその旨を口に出して伝えていくようにしました。
→(利用者さまへの工夫)無茶苦茶にただ塗っているだけではないとお見受けしたので、「どんな風景が見えているのですか?」
「どんなことを思い出されてらっしゃるのですか?」と尋ねてみると、即座に、昔ご主人と登った山の風景だと話してくださいました。その方の心の中が動いていることがよくわかりました。それ以来、わけのわからないようなものを描いている方には、この二つの質問をしてみていただいています。すると、大抵、何かしらの記憶につながる会話に結びつき、にわかにおしゃべりが弾んだりすることもよくあります。

② (難しかったこと)描く気があるのかないのか、全然違うものを描いている方には最初戸惑いました。自分の意思ではなく、半ば嫌々参加さている方もありますので、どう寄り添うかは、その都度迷い迷いです。
→(工夫)雪うさぎを描いた時のことですが、全体を橙で塗った後は、次に進めず嫌々そうなお顔になった方がありました。(認知症の方です)もういい、とおっしゃるので、子供の頃、雪うさぎを作ったことがありますか?と尋ねてみました。すると「俺は雪うさぎなんか作らない、雪は嫌いなんだ」とおっしゃいました。そこで、どこにお住まいだったかさらにたずねると、北海道の雪深いところだと。そこから記憶が繋がったのか、お兄さんがビール工場をしていたことを話し始めたので、私が、「ああ、この橙色は、ビールの色に似ていますね!」と思わず言うと、「これはビールの泡だ」と、練り消しで泡を描き、うまそうだ、と満足そうな表情をされました。
これは大きな学びでした。
「何をどう描くか」ではなく、その方がこの色、この絵を通して「どんなことを思い出し」「どんなものを見ているか」に気づいていくことが大切だと実感しました。

③ (難しかったこと)なかなか描き進められず、じっと手が止まってしまう方がありました。自分の絵が気に入らない様子で、いろいろ声がけしてみても、黙ったまま消したり描いたりしています。力になれていないようで焦りました。
→(工夫)その方の前で書いているお仲間に助けを求めてみました。「紅葉」の木を描いている時だったのですが、なかなか思い通りにならないようなのですが、どう思われますか?と振ってみたのです。するとお仲間が感心して「うまいじゃん!俺の故郷の木に似てるな」と褒めた途端に、その方の目がチカッと光りました。「そうなんだ!俺はここにいるぞ!っていう木にしたいんだ!」と力強くおっしゃり、しばしこのお二人は故郷の話で盛り上がりました。いつもほとんど喋らない方だったので驚きました。
困った時には、自分には力がないと思わずに、人の力を借りるのも大事だと実感。おかげで、かえっておしゃべりも弾み、オープンダイアログのなんたるかを垣間見たように思いました。

【予測できなかったこと】
これまでは2年以上毎月毎回参加してくださる方も多数いらっしゃることから、一度、レシピではない自分のオリジナルでやってみようと、台紙も全部準備して望んだことがありました。
ところがその時はたまたま、施設の方の都合でいつもの曜日ではない日の開催でした。
行ってみてびっくり。全く初めての方ばかり、パステルアート未経験者ばかりだったのです。
用意したものは初めての方にはちょっと難しいと考え、とっさに季節のもののレシピに予定変更。
が!書き順がうろ覚えで、お手本もない!
慌ててその場でお手本用を2枚描きましたが、後でレシピを確認したら、ところどころ抜けていたり違っていたり(汗)

→・レシピは、時々復習してみて、いつでもスラスラ描けるようにしておこう!
・お手本は常にレシピ分、持っていよう!
と思った次第でした。

–インストラクター平野麻子さんより

 

 

皆様のコメントを参考にさせていただきながら、勤務先のデイサービスで3色パステルアートをスタートしました。ありがとうございます。
作業療法士ですので、運動や手工芸などと共に、機能訓練プログラムの一つとして取り入れていこうと考えております。
シニアへの配慮として、私なりにいくつか気にかけた点をコメントいたします。

・見えづらさへの配慮
視力の問題以外にも、特に白内障の影響のある方は、白くかすんだり明るい部分がまぶしく見え、輪郭やコントラストがぼやけるようです。
他の方が書いてくださっていましたが、黄色(特に明るい黄)が見えないご様子がありました。
できるだけ濃い、暗い黄色を選んでご提供するのも良いと思いました。

・視野が狭いことへの配慮
見えている範囲が狭く、周囲を広く目で探索できない方が多いです。。
隣の方の材料や用具を使ってしまうことがよくあります。
自分の作業エリアをわかりやすく、用具や見本は一人分ずつ目の前にご用意できるとスムーズです。

・手順書
目を配りきれない人数の場合や、スタッフの方も書き方をご存じない場合など、一工程ずつめくって見せる手順書を用意するとよいなと思います。
完成作品から描き順を推測するのは難しく、またなぜか「気が急く」方も多いので。。。
3色パステルアートのレシピは良く練られていますね!
順を追って間違いなく描いていただきたいレシピの作品は、紙芝居状に提示するつもりです。

・半身まひのある方への配慮
テーブル上の用具を支えることができない方の場合、すべて使いやすい位置にテープなどで貼り付けて固定します。
私は、パステルの棒を直接両面テープで台紙に貼り付け、その台紙をテーブルに貼り付けて動かないようにしました。
また、わたを輪ゴムでテルテル坊主状にしたものを用意しました。
まひのある方への一例ですが、なんらか障碍のあるかたがご参加の場合は、介護等のスタッフからアドバイスがいただけると良いですね。

–インストラクター田中恵子さんより

 

通所の場合は、通える程度には元気ということなはず。。それと、施設にもよりますが強制参加ではなく絵に興味がある人が参加の可能性が高いと思います。
90〜120分ということなら、試し書き1枚+メイン1枚にします。

デイサービスは時間厳守なことが多いので、時間が余るくらいが丁度良いです。
車椅子の人がいるか、準備と片付けまで含めてその時間かは、事前に確認できたら良いですね。
車椅子の人を待っていると全員集合するまでに20分くらいかかります。

 

私はデイサービスのレクでさせてもらいました(介護度関係なく全員参加です)

レク担当の職員から『人数が多いから(6テーブル)ホワイトボードだけだと見えず、説明だけだと理解しにくいからテーブル毎に具体的に見せた方が不安の訴えもなくやりやすいよ』とアドバイスをもらい、また、パステル未経験のスタッフにも手伝ってもらうのは必須なので作る工程〜完成品を1コマ1コマ作り提示し、各テーブルに配りました。

物品を各テーブルに分ける準備に時間がかかりました。

事前にクリアファイルとハガキ1枚は貼っておけば良かったと思いました。

コットンを折ってコットンにパステルを付けるのが難しい方が多かったです。(先に粉にしようとも思いましたが色が混ざりそうなのでやめました)

スタッフに手伝ってもらい準備から片付けまで2枚描いて90分使いました。

手の力がない方は手を持って描かせてもらったり、全く違うものになりそうでこちらが手直しさせてもらっても最後に自分の名前を書かれるととても喜ばれます。

–インストラクター安藤正美さんより

 

わたしも隔月で通所デイサービスさんで行っています。
私の場合は、一回が10名程度で、既に着席されています。
時間は60分から90分です。
葉書サイズの場合は2枚。A4サイズの時は1枚です。
手の握力の無い方、コットンを使いたくなくて、直接パステルで描かれる方、手にパステルをとって描かれる方があります。進み方がゆっくりな方などは職員の方に所々サポートしていただいて進めています。
以前は、片付けてからおやつの時間になっていたのですが、今は、おやつを頂きながら作品の観賞会をしています。

–インストラクター近藤恵利さんより

 

私も月1回デイサービスでパステルやってますが、時間は同じくらい(90~120分)で、時間が決まっているので最初から着席しています。

毎回ハガキサイズ1枚です。

絵によって毎回時間が違うので、描くこと、片付け、鑑賞会をしながらお茶。をその時によって時間配分が変わっています。
その辺りは、絵の進み具合でスタッフの方が段取りしてくれています。

黄色は見づらいようです。

粉が衣類に付いたりするので、汚れてもいいものがいいと思います。

–インストラクター田崎由紀子さんより

 

毎月、特養でのレクリエーションでパステル描いていますが、他のデイサービスでの依頼にお応えした時のお話です。
40名一斉に描くという、かなり大胆な取り組みでした。
事前に職員への研修で、手順を覚えて頂きました。6人毎のテーブルに1つ、100均のハガキファイルに、手順を①~③と書いてマイクで説明し、1時間で1枚を完成させました。
大変ですが、一色ずつ使う色だけ、パステルを削ってあげると、混ざってしまったり、服を汚さなくて良かったです。
最後にお1人ずつ、フィキサチーフが乾いてから、『3色パステルアート』のいもむしちゃんスタンプを押してあげると、とても可愛くて皆さん喜んで下さいました。

–インストラクター小林美香さんより

 

私は2年程月1回デーサービスでパステルをさせていただきました。
少しでもご参考になればと試行錯誤の末の私のやり方をお伝えしますね。

事前に用意するものは
●人数分のクリアファイルに貼ったハガキ
(高齢者の場合には、貼ること自体に時間がかかるため)
●コットン、綿棒、ラップに小分けにした練り消しをチャック入りビニールに
●その日作成するパステルのサンプルコピーを人数分
●A4用紙に①、⓶…
と書き、人数分コピー

高齢者の場合は力がないので、先に削っておきます。A4の番号のところにそれぞれの色を削っておきます。

以上を先に用意し、
みなさんにお配りしてました。
サンプルは人数分。みなさんはそのサンプル見ながら作成していました。

行うときは「最初に①の赤を使いまーす」
のようにお伝えするとわかりやすいです。

少しでもお役に立てば幸いです。

–インストラクター外山はる美さんより

 

全て原文ママ*
(*一部施設名や個人情報が特定される内容は伏せて掲載しています)

 

2017-09-03 | Posted in 活動履歴, 現場のノウハウ, 高齢者レクリエーションComments Closed 

関連記事